ゴア・スクリーミング・ショウ 感想

総合評価 　☆☆☆☆☆    (5/5)
シナリオ　 ☆☆☆☆☆    (5/5)（シナリオ）
キャラ 　   ☆☆☆☆☆  （5/5）
CG　　      ☆☆☆☆　    (4/5)
音楽           ☆☆☆☆　     (4/5)
エロ           ☆☆☆            (3/5)

　エロとグロと電波と狂気とちょっとしたホラーと純愛といった感じのイメージ。凄く大雑把な説明をすると、少女たちが無理やりトラウマと向き合わされて克服あるいは受け入れることになるお話。

　シナリオはきっちり読み込んだり、考察したりしないと置いていかれるタイプで、面白いんだけど爽快感はない作品。

評価点

シナリオ

　人格形成や成長を、人間の精神的構造をテーマにして書いているのがおそらくメイン。

　最初の雰囲気から、騙されやすいが別に恐ろしい化け物に追い回されるグロホラーがメインではない。

　基本的には一目惚れ拗らせた、ヤンデレロリが愛しの彼のそばに居る女を精神的にボコボコにしていき、ヒロインがそれを克服していくお話。

 キャラ

あかね

　無意識に上から目線。いい子だけど、押し付けがましい所がありそういった部分はあおいに嫌われている。

　いい子というのは社会的というか親的に感じ入る部分で、道徳的に正しい行動を取っているということ。言ってしまえばいい子ちゃん。あおいやユカへの対応を見ていれば分かるが、世話を焼いてあげなきゃいけないといった上から目線的な行動が目立つ。（多分無意識でやってる。だからこそあおいにとっては不快なんだろうけど）

 　ユカとは相性最悪。ユカのコンセプトが井戸＝イド（無意識的欲求、本能的なもの）で自分の欲求通りに動いている。あかねは上記の通り反対。ユカがイドな辺り、おそらくあかねは超自我（ざっくり言えば良心。イドの本能的な欲求を道徳的に禁止する）枠。

　最終盤、ユカに体が乗っ取られるのはおそらく、今まで抑え込んできた自分のイドを受け入れる必要があるため。

　ユカ（イド）に乗っ取られる→欲求に負ける。ユカ（イド）から元に戻る→自分のイドを受け入れる。

　あかね自身のエロが最後の最後なのはイドを受け入れた後だからだと思われる。

 あおい

　父と兄の死亡がきっかけで貧しくなった少女。作中でも暗いだの、ブスだの（恐らく悪口込みではあるけど）と徹底的にマイナスイメージで語られる。

　可愛そうな自分を世話してくるあかねを嫌悪し、邪魔し、自分の欲求を満たすがそんな自分を嫌悪している。

　あかね（超自我）とイドの板挟みに加え、主人公に好意を抱いて髪型を変えてみたり、逆に戻したりといった行動もあるので自我枠。

　ユカによって鏡の世界に閉じ込められ、外に出る条件が合わせ鏡。合わせ鏡は自分の全体を見るために使われるもので、ここでは恐らく自己と向き合う事への象徴。

　自我はイドと超自我の調整の他、現実的との接触を保つというものもあるので、恐らくこの考え方で合ってると思う。

　服装、鏡等からアリスモチーフも入っている。

 希衣佳

　美人な優等生。小綺麗すぎて、近寄りがたい雰囲気。抑圧が異常に強い母親と√中で爆発している性欲からエス（イドと同じ）枠。

　ただユカとは違い、母親の影響もあり、基本的には抑え込んでいる。√ではユカの介入によりエス部分が大きくなり、性欲に振り回され続ける。ディルドはエスの象徴的なもの。

　母親と過去の鉄棒の下りで性的な欲求は強いながら、彼女のなかでは、不潔なものとして扱わなければいけなくなっている。

　その社会的な自分と、本当の部分では性欲が強く性的な行動を悦んでしまう自分、両方を認め、受け入れる事が彼女の√のお話。

　話の内容が内容なので、他のヒロイン以上に性的なシーンやスプラッタなシーンが多い印象。

 　エス（イド）を認めるという点では、あかねと同じだがあかねは本質的には超自我、希衣住はエスよりなイメージ。

ユカ

　イドと井戸、イシと石と分かりやすい表現があるヒロイン。まんまイドのヒロインで自分の潜在欲求に素直過ぎる少女。外見年齢が少女のまま＝イドに素直な子供という表現だと思われる。

　作中でも、視野が狭い、物を知らないと言われているので恐らくあってる。ユカと紫で2つの名前があるのも、人間としての紫とユカとを明確に分けるためと思われる。

　ゴアも同様にイドの表現と思われる。無邪気とも言える破壊衝動、子供が虫を面白がって殺したりする様なもの。

　実際行動は道徳的には異常と断言されるものだが、彼女の行動原理は単純明快。自分にとって愛おしい主人公にはひたすら欲望をぶつけ、彼女にとって邪魔なものは本能のまま排除する。

　彼女がヤンデレなのも人間の欲求の剥き出しなままの分かりやすい表現なのかなと。（欲しい物が欲しいと駄々をこねる、いらない嫌いなものは無責任に壊す）

　この通りの存在であるため、超自我、自我といったイドを律する役割のヒロインとは特に相性が悪い。イドにとって欲求を満たすために、それらは邪魔な存在でしかない。

　√ではそんな彼女がユカ（イド）から紫（人間）に戻るお話。最後のユカが大人びた様子なのも子供から大人への成長という表現であると思う。（ゴアが消えている、石がなくなり不老が消える辺りもこれにつながっている。）

CG

　年代的に古臭い部分は確かにあるが、個人的には問題ない範疇。スプラッタシーンは思わずうわあとなるぐらい出来がいい。ただ規制の関係で臓器にモザイク修正入っているのはちょっと勿体無い。

音楽

　OP好き。ゴアの登場BGMは陽気だが恐怖感煽る感じは、キャラに合ってていいと思う。

エロ

グロがついてまわるものが多い。後は陵辱的なのも多数。悪くはないと思うけど、実用性は微妙な所。

総評

どこまでもついてまわるグロ表現。ユカをはじめとして色々と尖ってるヒロイン、シナリオとおよそ一般受けはしない作品。ただそれらの質は高く、好きなひとにはたまらない作品。