青春フラジャイル 感想
総合評価 ☆☆☆★ (3.5/5)
シナリオ ☆☆☆★ (3.5/5) (キャラ)
キャラ ☆☆☆☆ (4/5)
CG ☆☆☆☆ (4/5)
音楽 ☆☆☆ (3/5)
エロ ☆☆☆☆ (4/5)
鳥羽せつなのキャラをいかに受け入れられるかで、評価が変わりそうな作品、基本的にはコメディチックな作風だが、個別の魔法関係でシリアスに入るという形のよくあるタイプ。
だが、タイトルをまんま回収するせつな√は陰鬱かつめんどくさい雰囲気が続くので、かなり好みが分かれる作風。
評価点
コメディ感が強い共通ルート
メイド、幼馴染、魔法使い、ストーカー等などの濃いキャラ付のヒロインたちとドタバタしていくお話。
特に透音、リズは掛け合いが楽しく読んでいて楽しいやり取りが多め、前者は身内、後者は魔法使いということで、出番が多いのでこの二人が魅力的なキャラなのは大きい。
キャラ
前述の通り、透音、リズが特に魅力的。せつなも魅力的だが彼女は味付けが濃すぎるので別枠。
透音は、なんやかんやでちゃっかりしていたり、意外と押しが強かったりとただ可愛いだけなく、小悪魔さというか、要領の良さがにじみ出てる感じが魅力的。主人公との距離が近いのもあって、やり取りに遠慮がないのでそこもいい。
リズはリズで別の遠慮のなさがあったり、天然と世間知らずのあわせ技で突拍子もない事を言いだしたり、基本的に明るいので彼女がいるとシリアス展開で暗くなりすぎない。
CG
いつもどおりの克さんなのでここも良質、後述のエロと合わせてレベルも高い。
エロ
CGの質の良さ、シチュ、テキストとここも良質。エリスのエロもあったし、流石。
問題点
主人公のキャラクター
かなり魅力にかける存在だった。この手の美少女ゲームに何をと言われるかもしれないが、あんまりにも基礎スペックが低すぎて、人間的にもあまり褒められたものではないのですすめるにつれ不快感がます存在だった。
シリアス展開で怒った問題に対し自分本位に怒鳴り散らしたり、鬱ったりして傷口を広げている様な場面が目立つ。
最終的に問題を解決するが、無能設定と前述の行動のせいでご都合主義感が強くなりがちなのも難点。
後単純にせつな√の後だと、単純に葛藤もなく他の女と付き合っているのも正直どうなんだと。
シリアス展開の粗さ
シリアス展開の導入がおざなりだったり、一部のキャラが急に不快になったりと読んでて首をかしげる様な部分も多い。
例えば、リズルートであれば、リズの過去を知って少しまいっている様子の主人公が、トラックに跳ねられかけ、それを助けるのに魔法を使いバレるという、唐突ぶり。
あんまりに急で、あんまりにも都合よくバレるのでむしろ笑ってしまう。
個別ルート
透音√
キャラの魅力を、存分に生かしたキャラゲーらしいシナリオ。シリアス関係の唐突さ問題解決のご都合主義っぷりはすごい、後半にコンパクトにまとめてるので不快感にはならない。
透音の魅力は上の方でも書いたが、個別ルートにはそれに加え、甘えん坊のギャップも見せてくれるので更に魅力が上がっている。
ご当地アイドルについても、本人の目的がはっきりしていることに加え、楽しんでこなしている様子が見れるのでよし。
リズ√
常識知らず箱入り娘な、魔法使いに振り回されるコメディ色の強いお話が前半。スマホにはまり込む姿を始め、全体的に楽しく読める。そもそもリズのキャラ自体がコメディ適正が高いのでここは流石。
また、魔法使い設定を活かした、箒で夜空を飛ぶシチュでの告白もロマンがあって良き良き。
反面、前述の通りのシリアス展開での導入があんまりにもアレなのでそこはちょっと。急に青春青春言い出すしこうなんとも。
氷緖√
好きな人には申し訳ないけど、かなり最低な√だと思う。暴力系チョロインツンデレというキャラ設定で見れば、前半はまあいいとしても、旅館関係のシリアス展開がかなりひどい。
姉も言葉足らずに加え、行動が意味不明な点もあるが、妹も妹。いくら旅館の為とはいえ、姉を魔法で自分の都合の良い認識にしたり、覚悟を決めてるといったわり中途半端な行動だったり、可愛げだそうとしているんだろうけど不愉快でしかない。
告白シーンもちょっとなあ。
番外 せつな√
前提として、私個人の性癖で物事を語っているのでかなりズレた発言も多いです。
せつな√の楽しみ方は、彼女のそのめんどくさいまでのこわれている性質に萌えること。
個人的に最大のポイントは、いくら楽しくはしゃいでも、心の奥底で強迫観念と言ってもいい、自殺衝動と自己嫌悪からくる幸せや優しさに対する罪悪感や苦しみを抱えている点だと思う。
極端な言い方をすれば、過去編は全てせつな萌えシナリオと言ってもいい。人と繋がれる嬉しさと心の不安定さのバランスで壊れ物を扱わなくては行けないような面倒くささが、彼女の萌ポイント。
明るくはしゃぐ彼女がこういった重苦しいものを常にかかえていたと思うと、過去編のコメディ的なシーンにもまた味が出る。
そういった不安定な心を追い詰めていったのが、紛れもなく恋心だったというのも、また重要な部分で、その恋心も彼女にとって最も大事で幸せなものだったから自殺を決行する。
そして、そんな幸せに罪悪感を覚えることにも自己嫌悪を覚える。もうどうしようもなくめんどくさくて、それがいい。
幸せだったことに罪悪感を覚えてしまうという事は、やっぱりそれは本物だったという証。
恋心を否定される事に狼狽していたのも、本物ので幸せだったと肯定して、自殺しようとしているのにそれを否定されてしまったら本当に何もなくなってしまう。
これ以上幸せになるのも怖いが、確かなものが一つもないまま終わることもまた怖いそんな彼女の考えが、過去編のラスト。
前向きになって付き合いはじめた現代編においても、それは続く。
現代編はおそらく、せつなの願いが、主人公との幸せ>自分の死という形になるまでのお話。
ガラスの雨→わるいまほうつかいのあたりまでは自分の死=主人公との幸せになっているが、これが形として現れているのは作中でも語られている通り。
この幸せになればなるほど死にたくなるというのがまた素晴らしく、自己矛盾的な願望の形の表現としてこの上なく的確。
死にたいけど救われたいどちらも本当だからたちが悪い。でもそれがいい。
こういった部分に対する対応がご都合主義感強いところを除けば、この√はかなり私好み。
まあまっとうにやろうと思ったら、あの主人公じゃ力不足すぎるから仕方ないけど。
総評
基本的には、シリアス部分のご都合主義目立つよくあるキャラゲー。キャラ立ちはしており、魅力的なので平均点以上はある。
また、せつなが相当人を選ぶが、そこが中心なのでちょっとバランスの悪さは感じる。