エロゲ好きの自由帳

エロゲ感想置き場。文章力は皆無

さくらの雲スカアレットの恋 感想

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総合評価  ☆☆☆☆             (4/5)
シナリオ  ☆☆☆☆★       (4.5/5)(シナリオ)
キャラ      ☆☆☆☆☆          (5/5)
CG         ☆☆☆                    (3/5)
音楽            ☆☆☆                  (3/5)
エロ            ☆☆☆                  (3/5)

 

 大正時代を舞台に、SF要素と推理物要素が混ざりあった作品。魅力的なキャラ、丁寧な伏線の張り、世界観が合わさった良作。

 ただ一本道シナリオにありがちな最終ルートまでは、パーツといったシナリオで個別ルートでの良し悪しの差は大きい。

 

シナリオ

共通(一周目)

 タイムスリップ先で出会った探偵に拾われ探偵助手として事件の解決へ勤しむ。元の時代に帰るためには、歴史の歪み(本来の歴史から外れた事象)を解決することでもとの時代に帰れる。

 この一周目はプレイヤーにとっての触りのルート。彼らの仕事はどういう物なのか、交流する人物達の大まかな人となりを描写しながら、伏線をちらしている。

シリアス要素が薄めだが、大正時代設定を生かし、魅力的なキャラクターたちで物語を作っているので退屈には感じなかった。

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 ここでの大きなミスリードは加藤は魔人であり、超常的な力を有しているという事。人災によって起こった事件ではなく、自然災害を彼の意図したタイミングで起こしている事から読者にそう錯覚させている。(魔人加藤が異能で震災を起こすという有名な創作があるのもまた)

 ただ、これはかなりわかりやすい部類である。何せ、わざわざ選択肢まで用意し加藤は魔人であるという印象をもたせる動きがあまりにも露骨すぎる。(加藤のせいというのは事実だし)

 それに加えて、タイムマシンを作ると息巻いてた伏倉を拉致する、異能の法則性がまるでない。またある程度推理物の体をとっている以上Howdunitを崩壊させる異能はタブーといったメタ的要素もある。(主人公サイドが理解できない物を回答にすると一気にご都合主義になる。)

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遠子ルート

 射殺をするという衝撃的なラストで一周目を飾った彼女のルート。個人的には、一番雑なルートだったなという印象、付き合った後の性急感をそうだが、物語の中心である怪盗ヘイスト関連の正体については、ちょっと証拠として弱かった。(というか遠子とのつながりに対しての描写がないのが痛い)

 

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蓮ルート

 良くも悪くも普通の子なので、ルートに関してはかなり退屈だった章。特に伏線関連についてはナリゴン関連の話が主でぶっちゃけ蓮関係ないので。

 ただ付き合ってからの蓮のはっちゃけぷりはよく、特にお楽しみシーンでの小悪魔というかSっぷりは非常に良かったです。いい意味で予想を裏切られた。それとバームクーヘン

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メリッサルート

 ミステリートレインという、推理モノとしてはベタベタの舞台設定に加え、物語の最終へと繋ぐ重要なルート。ヒロインとの結ばれ方と列車にとどまらせる理由がやや雑に感じたが、それ以外は良かったと思う。

 特に、ラストのOPインストからの引きはベタながらかなり盛り上がる。

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所長ルート

 解決編にして、この作品の主食ルート。個人的に一番引き込まれたのは主人公の真相。他ルートでやけに葛藤なく、大正時代に残ることや、性行為中でもつけっぱなしの手袋等伏線は多かったが、他のことに気を取られすぎていて全く気がつけなかった。

 今まで隠してきた醜い部分を吐き出す司を所長が受け止め改心させるシーンは、この作品中1,2を争う名場面。

 共通などでは抜けた部分を見せることも多い、所長だがやはりここぞというときは年上らしく頼りがいのある一面をのぞかせてくれる。

 反面良くも悪くもここがルートとしては最高値だった印象。ここからは恋人としての触れ合いを通して、最終戦へと移るのだが消化試合感が否めなかった。

 規模や、行動は違えど歴史を歪ませたという点は司たちも同じであり、締めが親殺しのパラドックスでの解決という排除だったためだろうか。

 後何よりほぼ謎は解明されており、ほとんど答え合わせだったのもある。

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 ただそれを吹き飛ばせるほどの力がラストにはある。別離展開はベタではあるが、しっかりと感情を揺さぶれるだけの積み重ねがある。

 それは司がこの時代に留まりたいと思ってしまったほど魅力的なものだったという説得力をプレイヤーも共有できる程。当たり前の日常が終わる雰囲気、馴染んだ風景が終わりだと実感させられる別れの挨拶。そして最後に戻ってきた事務所には、いつものままで居る所長。

 最後は、最初に出会った場所で二人の積み重ねを振り返りながら最後の時を過ごす。

ここの空気感が格別にいい。遠子や蓮は悲しそうな顔をしながら送り出してくれるが、所長は、お前の未来をいいものにしてみせるとかっこよく終わるのがまたずるい。

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 そして最後に未来に戻り、彼女の子孫から手紙を受け取る。桜雲と材台を跳ね除け司と所長の間の百年という月日の差を繋げる感動的な場面。

 加えて、彼女たちがどんな人生を全うしたか、彼がこれからどんな人生を歩むのかを語るエンドロールは素晴らしいの一言。

 個人としては、令和のチェリイ探偵事務所を短編でもいいので読んでみたい。

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音楽

歌曲を始め、全体的に質がいい。

 

エロ関係

この手の可愛らしい絵柄のものは大体ここはおまけ程度のイメージなのだが、テキストに凄まじく気合が入っており、思ってた以上によかった。

 ただCGがエロくないんだよあ、もったいない。

 

問題点

CG

 キャラクターデザインは可愛らしいし、絵破綻しているわけではないがCGとしては今までやったゲームの中でも劣悪だった。

 斜めに傾けたキャラのアップCGが多く、ぶっちゃけ立ち絵と対して変わんない。ぐっと引き込まれる背景に比べると本当にただキャラがかいてあるだけのものが多い。(もちろん、ラストのCGをはじめコレというものもあるが……)

加えてCG枚数もフルプラにしては少なめと質量ともにかなり微妙。

絵が下手というよりも構図とかの指定が駄目きがする。(EDの刑事の部分にあのCGを使うようなセンスだし)

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総評

 見事な伏線ばりと回収、良質なキャラとテキスト、雰囲気と高水準な作品。CGをはじめとして粗い部分もあるが、それ以上に魅力がまさる良作。