サツコイ ~悠久なる恋の歌~ 感想
殺されてもこの恋を――
総合評価 ☆☆☆☆ (4/5)
シナリオ ☆☆☆☆ (4/5)(シナリオ)
キャラ ☆☆☆☆☆ (5/5)
CG ☆☆☆☆ (4/5)
音楽 ☆☆☆☆☆ (5/5)
エロ ☆☆ (2/5)
ALcotハニカムの瀬尾順さん作品その3。春ポコやあえ無視に比べるとシナリオ寄りで話も重め。死生観について触れている作品で物語としての終着も安易な幸せではない。ミドルプライスなのもあり短めだが、それがむしろ良かった様に感じる。長いとだれそうだし。ヒロイン中2/3近親というびっくりの身内感。キャラ萌えだけを目当てでやると、展開に置いていかれる可能性あり。CGの質はいつもどおり良き。BGMは作品に寄り添って物悲しいものが耳に残りやすかった印象。OPは凄い作品に寄り添った綺麗な歌詞をしていて個人的に高評価。
キャラ
川嶋 直
ヒロイン唯一のパンピ枠。共通等では賑わかし要員の一面もある。彼女√は回想からの延長で過去に主人公と性行為経験あり。ヒロイン枠の関係上唯一、人と人外の恋について書かれている√でもあり、種族を超えた恋とその破滅が描かれている。人魚っていう設定がなかったら、ひねくれた男と優しい女の話で終われてたのになあ。とはいえ、一番真っ当に恋愛してた√でもある。優しいお話ではあっても奇跡は起きない終わりなので一緒にいれない。切ないね
新田 瑠璃
クラスメイトの委員長かと思いきや…。まさかの実姉、厳しい面もあるが基本的にイズミや悠には甘いお姉ちゃん。彼女の√は明確に恋人関係になっているかというのかは微妙なライン。(家族愛から発展してる最中に事件が起きるので)彼女√は家族についての話。イズミの養父について、人魚としての家族について。緊迫感と絶望感が一番濃かったのがこの√かな。唯一最後まで主人公とヒロインが一緒のルートではあるが、遠くないうちにおそらくイズミが衰弱死すると思われる。
白波瀬 悠
実は実妹、愛すべき駄妹3号。今ゲームのグランド枠。頭がおかしいだの事前情報では頭のネジがハズレてる感じで紹介されたけどんなことはない。痛くて残念な子ではあるけど基本的にはいい子。人見知りで他者依存が強く、特に再会した兄にはそれが顕著。CVくすはらゆいとは思えないような声だしちゃったりしてる。だがそれが良い。
彼女の妹として保護欲がそそられる部分と女性としての魅力、とヒロインとしての完成度もいい。背徳感はあまりないが、お互いの結びきの強さ、妹と恋人、捕食者と捕食対象という深すぎるつながりが独特で強い。
彼女のルートはほんと自分好みで大好き。
悠ルート
人魚の性質上、兄とは絶対一緒に歩めない。愛情と人魚としての本能、性質に振り回されていくのが彼女の√。絶対に死ぬ運命から逃れないイズミと、生きるためには一番大切なものを犠牲にしなくてはいけない悠。
このゲームは生き方と死に方その2つについて描かれていた。特に死との向き合い方という描写が多く。安易死ぬことは罪だと作中ではっきり言い切っている。死ぬという結末は変わらなくても、それは自分が納得する結末でないといけない。当たり前のようだけど凄く難しい死との向き合い方であり義務だなあと。
反対に生きる事は、作中における生存は主に他者の死を糧に成り立っている。人を殺さなければ生きていけない雑種。つがいを捕食しなければ衰弱死する純血種。人間だって何かを殺めて生きているわけだが、それがもっと重くのしかかっている。犠牲の上の生、誰かの死を糧に生きているという自覚と責任。生きているならそれに報いる義務があるわけですね
総評
シナリオよりの佳作というのが個人的な評価。ある意味ハニカムらしく好きな人にはとことん好きな作品といったイメージ。他人には進めにくい作品ではあるが間違いなく面白い。手放しのハッピーエンドという作品ではないがとても優しい作品。