時計仕掛けのレイライン -朝霧に散る花- 感想
総合評価 ☆☆☆☆☆ (5/5)
シナリオ(シナリオ寄り) ☆☆☆☆☆ (5/5)
キャラ ☆☆☆☆☆ (5/5)
CG ☆☆☆☆☆ (5/5)
音楽 ☆☆☆☆☆ (5/5)
エロ ☆☆☆ (3/5)
レイラインの完結編、結末に当たる部分なので最初から最後まで面白さが詰まっている作品。また今回は、メインシナリオ部分でヒロイン分岐をなくし、明確にモー子一本に絞ったことで、前作までの寄り道感や一息つく場面が無かったのも、良かった。
評価点
シナリオ
溜め込んだ伏線をガッツリ回収していくシナリオ。最序盤こそ、穏やかな雰囲気だが、二人の登場以降はずっと重苦しい雰囲気が続く。とにかく敵sideの方が強い上に、対応が後手に回り続ける事になるので、常に足りない戦力をなんとか誤魔化しながら解決に向かっていく。
知識、戦闘能力共に、最重要なルイは開幕で戦闘不能にされ、鍵の使用回数を大幅に増やせる魔女2人も拉致られ、常に頭を悩まされる展開が続く。一見運良く解決していただけ見える部分も実際はモー子の機転で乗り切っているのでご都合主義感も少ない。少ない手札を生かして、相手に食らいついてくのは、非常に読み応え抜群。
過去の出来事から現在の事件について考える推理パートも健在で、しっかり読んでいれば、ミスリードに気付く。
また、今回の黒幕についても、二人がホムンクルスであるならば、ニノマエもホムンクルスであると推測ができ。そこからCVが同じ雛が怪しいと終わった後に気づいた。乱暴な解釈ではあるが、作中のニノマエの鳴き声は主人からの応答という設定から無関係ではないと思う。
黒幕であるセディの孤独やコワレ方などもきっちり描いているので敵側の思惑と行動のちぐはぐさについて納得できるのも上手い。主人であるアンデルのことを忘れてしまっているので、アンデルが声かければ終わりじゃんというツッコミにならないのもいい。
ラストについても、20年前の生徒を救う流れがレイラインにしては力技に感じるところはあるが、展開としては妥当だと思う。適当な理由つけて現代に残さなかったのも評価点。(夜の生徒を救うのが目的であるならば、正しい流れに戻すべきなので)
そして最後の最後に、正しい形で3人が再開して終わるというきれいな形でレイライン終わる。正直最後のCGが見れただけでも、今作は素晴らしい。
キャラ
新キャラ旧キャラ共に上手く噛み合ってたと思う。特に主役コンビは、一作目から考えるとお互いの信頼の強さが強くなっているのを実感させられる描写が多い。睦月がおまるに見える幻覚で悩んでいる、みっちーにフォロー入れるモー子なんて一作目からは考えられない。
おまけシナリオ
本編だと出来ない他ヒロインとあれやれこれやをこっちに持ってきたのは正解だったと思う。中身はほんとにおまけ程度だけど、それで十分。というか主人公の相方はモー子が収まり良すぎてがっつりやられても微妙。
CG,音楽
いつもどおりのハイクオリティ。特にOPは映像、楽曲共にクライマックス感が強く。最終章の主題歌に相応しい。
問題点
一部キャラの扱い
物語の都合上仕方ないのだけれど、有能な人物程率先して排除されるので扱いはあまりよろしくない。最後に見せ場があるルイはともかく、魔女の二人はぶっちゃけほぼ空気。また、睦月に関しては出てきた割に対して見せ場もなく、ぶっちゃけいてもいなくても変わらないのはちょっとどうなのかな。
総評
起承転結における結の部分だけあり、シナリオの濃さはとんでもない。読了後に疲労感を感じる程のめり込んでいた。
最後で盛り下がる様な事もなく、高い質を維持したまま完結した名作というべき作品。